障害者雇用状況報告(通称ロクイチ報告)とは、毎年6月1日時点の障害者雇用の状況を、対象の事業主がハローワーク経由で国に報告する制度です。提出期限は例年7月15日。2026年は「報告は2.5%基準・直後の7月から2.7%適用」という特殊な年で、報告して終わりにしない対応が重要です。
- 基準日は毎年6月1日、提出期限は例年7月15日(高年齢者の報告と一体)
- 2026年報告の対象は常用40.0人以上。2027年報告からは37.5人以上に拡大
- 2026年6月1日時点は2.5%基準だが、7月1日からは2.7%が適用済み
- 未報告・虚偽報告には罰則。未達成が続くと指導・勧告・企業名公表も
- 納付金の申告はロクイチ報告とは別手続き(JEEDへ年度単位で申告)
ロクイチ報告とは(基本情報)
正式には「高年齢者及び障害者雇用状況等報告」といい、高年齢者の雇用状況とあわせて1つの様式で報告します。障害者雇用促進法に基づく法定の報告で、自社の達成状況を確認し次の計画につなげる機会でもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準日 | 毎年6月1日時点の雇用状況 |
| 提出期限 | 例年7月15日 |
| 提出先 | 本社を管轄するハローワーク(労働局経由の地域あり) |
| 提出方法 | 郵送・持参のほか、e-Gov電子申請も利用可能 |
| 様式 | 厚生労働省が様式・記入要領を公開(毎年5月頃に対象企業へ用紙送付) |
2026年の重要な注意点(今年だけの特殊構造)
2026年は制度の切り替わりをまたぐ年です。時系列を整理すると次のようになります。
| 時点 | 適用される制度 |
|---|---|
| 2026年6月1日(基準日) | 法定雇用率2.5%・報告対象は常用40.0人以上 |
| 2026年7月1日〜 | 法定雇用率2.7%・対象37.5人以上(施行済み) |
| 2027年の報告から | 報告義務の対象も37.5人以上に拡大 |
つまり、「今年の報告では達成」でも、7月からの2.7%では不足に転じている企業が少なくありません。報告書の提出と同時に、2.7%基準での再計算を済ませておくことを強くおすすめします(雇用率シミュレータで概算できます)。また、これまで対象外だった常用37.5〜40人未満の企業は、来年から報告義務が生じる見込みです。今年のうちに準備を始めると余裕を持てます。
書き方のポイント
- 常用労働者数の数え方 — 週30時間以上は1人、週20〜30時間未満は0.5人として計算します。
- 障害の部類・程度の記載 — 身体・知的・精神の別と重度の区分を記載します。重度(身体1・2級等)は2人分として算定される特例があります(カウント方法の詳細)。
- 除外率 — 対象業種は除外率を反映します。2025年4月に全業種で10ポイント引き下げられているため、昨年のコピーではなく現行の率で計算してください。
- 手帳の確認とプライバシー — 算定は原則手帳所持者が対象です。手帳情報の確認・保管は本人同意のもと、目的を限定して行います。
記入に迷ったら、厚生労働省の記入要領と、管轄ハローワークへの相談が確実です。
報告でよくあるミス(提出前チェック)
- 短時間労働者の数え漏れ — 常用労働者数に週20〜30時間未満の方(0.5人)を入れ忘れる。分母が変わると必要数も変わります。
- 除外率が旧率のまま — 2025年4月に全業種で10ポイント引き下げ済み。前年の控えを流用すると誤ります。
- 手帳の有効期限切れの算入 — 精神障害者保健福祉手帳は2年更新。期限切れのまま算入していないか、基準日時点の有効性を確認します。
- グループ会社の勝手な合算 — 関係会社をまとめて算定するには特例の認定(関係会社特例・グループ算定等)が必要です。認定なしの合算はできません。
- 基準日後の異動の反映 — 報告はあくまで6月1日時点。基準日より後の入退社を反映させてはいけません。
提出しない・虚偽を書くとどうなるか
報告義務のある企業が報告をしない場合や虚偽の報告をした場合には、罰則が定められています。また、提出後に未達成の状態が続くと、次の段階で行政の対応が進むことがあります。
- ハローワークからの行政指導(雇入れの計画的な推進の求め)
- 雇入れ計画の作成命令(2年間の計画)
- 計画の適正実施勧告
- 特別指導を経て、改善が見られない場合は企業名の公表
納付金の申告はロクイチとは別手続き
混同しやすいのですが、障害者雇用納付金(常用100人超・不足1人あたり月額5万円、100人超200人以下は減額特例あり)の申告・納付はロクイチ報告とは別の手続きです。年度単位で翌年度の指定期間に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)へ申告します。ロクイチ報告を出しただけでは納付金の手続きは完了しない点に注意してください。逆に、超過して雇用している100人超の企業は調整金の申請機会になります。
未達成だった企業が「この夏」やるべきこと
- 2.7%基準で再計算する — 今年の報告値ではなく現行制度での不足数を把握する
- 不足の埋め方を設計する — 業務の切り出しで職域をつくる(業務切り出しの進め方)
- 採用と受け入れの準備 — ハローワーク・支援機関への相談、現場の受け入れ体制の整備
- 定着の仕組みづくり — 採用後の定着支援まで設計して、来年のロクイチで前進を示す(定着支援の実務)
行政指導は「未達成」だけでなく「改善の見込み」も見られます。数字を合わせるだけでなく、定着・戦力化まで見据えた計画が、結果として持続的な達成につながります。
年間スケジュール(担当者用)
- 4〜5月:常用労働者数・手帳情報の棚卸し(本人同意の確認も)。納付金対象企業は前年度分の申告
- 6月1日:基準日。状況を確定
- 〜7月15日:報告書を提出(e-Gov活用可)
- 7〜9月:現行基準で再計算し、不足があれば採用計画・職域設計を見直す
- 10月〜翌3月:採用・受け入れ・定着を実行
よくある質問
- 提出期限に間に合わなかったらどうなりますか?
- まず管轄のハローワークに連絡して指示を仰いでください。報告義務違反には罰則が定められているため、放置は避けるべきです。
- 高年齢者の報告と別々に出すのですか?
- 「高年齢者及び障害者雇用状況等報告」として一体の様式で報告します。
- 電子申請はできますか?
- e-Gov電子申請が利用できます。控えの管理や再提出のしやすさの面でも活用をおすすめします。
- 今年の報告は達成でした。安心してよいですか?
- 2026年6月1日は2.5%基準です。7月からは2.7%が適用されているため、現行基準で再計算して不足がないか確認してください。
- 常用40人未満の会社は何もしなくてよいですか?
- 2026年の報告義務はありませんが、2.7%制度では37.5人以上が雇用義務の対象です。37.5〜40人未満の企業は来年からの報告に向けて準備を始めましょう。
- 調整金・報奨金の申請はどうすればよいですか?
- 超過して雇用している企業の調整金(100人超)や報奨金(100人以下)も、JEEDへの年度単位の申請手続きです。申請期間が決まっているため、超過している企業は忘れずに確認してください。
- 納付金はロクイチ報告と一緒に納めるのですか?
- いいえ。納付金の申告・納付は年度単位でJEEDに行う別手続きです。ロクイチ報告とは提出先も時期も異なります。
出典: 厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等」「高年齢者・障害者雇用状況等報告の提出について」(最新版)。期限・様式は年により変わる場合があるため、最新の案内をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言に代わるものではありません。
