アクセシビリティ

視覚障害の支援機器・用具ガイド|種類・選び方・給付制度での購入方法

音声読書器・拡大読書器・点字ディスプレイ・デイジー機器・白杖など、視覚障害のある方の支援機器をカテゴリ別に解説。日常生活用具給付制度や視覚障害者情報センター経由の購入方法、職場導入の助成金までまとめた総合ガイドです。

(更新:

視覚障害のある方の支援機器は、読む・書く・歩く・暮らすの場面別に多様な製品があり、給付制度や貸出制度を使って導入できます。

この記事のポイント

  • 支援機器は「読む」「歩く」「暮らす」の場面で整理すると選びやすい
  • 個人の購入は日常生活用具給付等事業(市区町村)の対象になるものが多く、購入前の申請が原則
  • 地域の視覚障害者情報センター(視覚障害者情報提供施設)で実機の体験・相談ができる
  • 職場への導入は、JEEDの無料貸出と納付金制度の助成金が使える

支援機器・用具のカテゴリ別ガイド

視覚障害のある方の主な支援機器・用具
カテゴリ 製品の例 役割・選び方のポイント
音声読み上げ製品 音声読書器(OCR機器)、AIカメラ型デバイス、音声色彩判別装置 印刷物・紙資料を音声化する。据置型は読み取り精度、携帯型は外出先での使いやすさで選ぶ
拡大読書器・ルーペ 据置型拡大読書器、携帯型拡大読書器、高倍率ルーペ ロービジョンの方の読み書きを支援。使用場面と倍率・画面サイズで選ぶ。詳細は拡大読書器の選び方参照
点字プリンタ・点字ディスプレイ 点字ディスプレイ(ピンディスプレイ)、点字プリンタ、点字器 正確な文字確認・静かな環境での作業に。PC・スマホと接続して使うものが主流
デイジー機器 DAISY図書再生機、録音再生機、対応ヘッドフォン 録音図書・音声教材の再生。点字図書館の貸出資料を利用するための基本機器
パソコンソフト スクリーンリーダー(PC-Talker・JAWS・NVDA)、画面拡大ソフト PC業務の基盤。視覚障害のある方の雇用ガイドで就労での使い方を解説。種類比較はスクリーンリーダーガイド
白杖・杖 直杖・折りたたみ杖・シンボルケーン(携帯用) 歩行の安全確保と周囲への合図。長さ・重さ・石突の形状は歩行訓練士等と相談して選ぶのが安全
時計 音声時計、触読式時計、振動時計 音声で時刻を知らせるタイプと、針に触れて読むタイプがある。職場では音の出方も考慮
生活・健康用品 音声体重計・音声血圧計・音声体温計、調理補助用品、点字シール 健康管理の自立を支える。日常生活用具給付の対象になるものが多い
iPhone/iPad関連 VoiceOver(標準搭載)、拡大鏡機能、対応アクセサリ 標準機能だけで音声操作・文字認識・拡大が可能。追加費用なしで始められる第一歩
聴力補助用品 音声増幅器、盲ろうの方向けの支援機器 視覚と聴覚の両方に障害のある方(盲ろう)の情報保障。専門機関との連携が重要

製品の価格は数千円のルーペから数十万円の据置型機器まで幅広く、時期・仕様により変動します。正確な価格・仕様は各メーカー・販売店の公式情報でご確認ください。

どこで買える? — 購入経路と相談先

支援機器は家電量販店にはほとんど並ばず、専門の販売店・メーカー直販と、地域の視覚障害者情報センター(視覚障害者情報提供施設・点字図書館)が主な入口になります。

支援機器の主な購入経路
経路 特徴 向いているケース
視覚障害者情報センター・点字図書館 実機の展示・体験・相談。施設によっては用具の販売・斡旋も行う 初めて機器を選ぶ方。まず触って比べたい
専門販売店・メーカー直販 品揃えが広く、オンライン購入や販売店経由の流通がある 機種が決まっている方。職場導入の見積り
自治体の窓口(給付制度) 日常生活用具給付等事業・補装具費支給の申請窓口 費用負担を抑えたい方(下記参照・原則購入前に申請)
JEED(企業向け貸出) 就労支援機器を一定期間無料で貸出 職場導入前に業務で試したい企業

視覚障害者情報提供施設は全国の都道府県・政令市などに設置されており、機器の相談のほか、点字・録音図書の貸出、生活相談の窓口でもあります。お住まいの地域の施設は「(都道府県名) 視覚障害者情報センター」で検索するか、自治体の障害福祉窓口で確認できます。

視覚障害者情報センターでできること

視覚障害者情報センター(視覚障害者情報提供施設・点字図書館)は「本を借りる場所」にとどまらず、機器選びの実質的なハブです。施設により内容は異なりますが、おおむね次の支援が受けられます。

  • 機器の展示・体験 — 拡大読書器・音声読書器・デイジー機器などを実際に操作して比較できる
  • 用具の販売・斡旋 — 白杖・時計・生活用品などを扱う用具部門を持つ施設があり、メーカー・販売店からの卸を受けて提供している地域もある
  • 給付申請のサポート — 日常生活用具給付の対象品目や申請手順について、地域の実情に沿った助言が得られる
  • 訓練・講習 — スマホ(VoiceOver)講習、パソコン講習、歩行訓練の案内など
  • 企業からの相談 — 社員の受障・雇用にあたっての機器選定相談に応じてくれる施設もある

施設の機能と全国の探し方は視覚障害者情報センターの案内記事で詳しく解説しています。

費用を抑える制度 — 日常生活用具給付と補装具費支給

日常生活用具給付等事業(市区町村)

在宅の障害のある方が対象の市区町村の制度で、音声読書器・拡大読書器・点字ディスプレイ・音声血圧計などの多くが給付対象になり得ます。対象品目・基準額・自己負担(原則1割の自治体が多い)は市区町村ごとに異なり、購入後の申請は認められないのが原則です。

  1. 市区町村の障害福祉窓口に相談(手帳・等級・症状により対象が変わる)
  2. 見積書等を添えて事前申請(販売店が申請書類の作成に慣れていることが多い)
  3. 給付決定後に購入・納品(自己負担分のみ支払い)

申請手順・対象品目・よくあるつまずきの詳細は日常生活用具給付の申請ガイドにまとめています。

補装具費支給制度

白杖(盲人安全つえ)・義眼・眼鏡(矯正・遮光など)は補装具費支給制度の対象です。こちらも申請窓口は市区町村です。

職場に導入する場合(企業向け)

社員が業務で使う機器は個人の給付制度ではなく、企業側の制度を使います。

  • JEEDの就労支援機器貸出 — スクリーンリーダー・拡大読書器等を無料で借りて、業務で使えるか検証できる
  • 障害者作業施設設置等助成金 — 納付金制度にもとづき、機器・設備費用の一部を助成
  • 職場介助者の助成 — 代読・代筆など人的サポートの費用助成

導入判断の前に、業務システムが読み上げに対応しているかの確認が重要です。Webアクセシビリティ診断(無料)視覚障害のある方の雇用ガイドもあわせてご覧ください。

選び方の基本 — 「見え方」と「場面」から決める

  1. 見え方を整理する — 全盲か、ロービジョンか。音声中心・拡大中心・点字のどれが合うかで機器カテゴリが決まる
  2. 使う場面を決める — 自宅の読書、外出先、職場のPC業務。据置型か携帯型かが決まる
  3. 体験してから選ぶ — 情報センターの展示や販売店のデモ、JEED貸出で必ず実機を試す。カタログだけでの購入は失敗のもと
  4. 制度を確認してから買う — 給付対象なら事前申請。順番を間違えると全額自己負担になる

よくある質問

給付制度でいくら安くなりますか?
品目ごとに基準額が定められ、自己負担は原則1割とする自治体が多いですが、上限額・所得制限を含め市区町村により異なります。概算でも大きな軽減になるため、購入前に必ず窓口へ相談してください。
スマホがあれば専用機器は不要ですか?
iPhoneのVoiceOverや文字認識アプリで代替できる場面は増えていますが、読み取り精度・操作の確実さ・長時間の使用感では専用機器に分があることも多く、併用が現実的です。まず標準機能から試すのは良い出発点です。
会社が購入すべきか、本人の給付で買うべきか迷います。
業務に使う機器は会社の合理的配慮として企業側で用意するのが原則です(JEED貸出・助成金を活用)。日常生活用具給付は在宅生活用の制度で、業務用途は対象外とされるのが一般的です。
視覚障害者情報センターは誰でも利用できますか?
主な対象は視覚障害のある方とその家族・支援者ですが、企業の担当者からの相談に応じてくれる施設も多くあります。訪問前に電話で相談内容を伝えるとスムーズです。
中古品・アウトレット品でも給付は使えますか?
給付は新品購入を前提とする自治体が一般的です。アウトレット・中古の扱いは販売店と自治体窓口の両方に確認してください。
白杖は視力があっても持ってよいのでしょうか?
白杖は全盲の方だけのものではありません。ロービジョンの方が周囲に見えにくさを伝えるためのシンボルケーンという使い方も広く認められています。

本記事は一般的な情報です。給付制度の対象・金額は市区町村により異なるため、必ずお住まいの自治体窓口でご確認ください。製品の価格・仕様は各メーカー・販売店の公式情報が正です。出典: 厚生労働省「日常生活用具給付等事業の概要」「補装具費支給制度の概要」、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「就労支援機器のページ」。最終更新: 2026年7月。